

プロフィール: 大阪府出身枚方市在住。化粧品メーカーの営業を42年。3年前に農地付き物件を京丹波町瑞穂に購入し、週末を京丹波町で過ごす日々。来年には完全移住し、大型犬も泊まれる民泊の運営しながら、田舎暮らしを満喫する予定。
新しい挑戦を明るさと感謝の気持ちで乗り越える細川純子さん
古民家を改装して民泊開業準備中の細川さんのお宅でお話を伺いました。山林や農地付きの物件を購入するには勇気が必要だったのではないかと思いますが、大阪で一緒に暮らすかわいい大型犬のため、また、ご自身の理想の暮らしに向けて明るく前進中の細川さんです。
【移住のきっかけ・京丹波町を選んだ理由】
一番は、京丹波町はアクセスがいいから。田舎を楽しみながら、ちょっと福知山の方へ行くと大型スーパーがあったり、便利さと田舎暮らしの両方を体験できるのが京丹波の魅力かな。
あとは、黒豆も枝豆も大好きで、そんな特産野菜を栽培できたらいいなというのもありました。元々、農業をしたいという夢もあったので、農地付きの物件を探していて、それがたまたま瑞穂にあったという感じ。
ここは、農地4反に山が7500坪ほどあって畑も100坪と、欲しい条件がすべて揃っていました。敷地も450坪あるし、柵をして犬を走らせられると考えて「ここが良い!」と思いました。
【犬と泊まれる民泊をしようと思われたのは?】
一番のきっかけは、今、枚方の家にいる72kgあるニューファンドランド。「ペット可」の宿泊施設でも「超大型犬はお断りします」という注意書きがあったり、ペットホテルでも断られる。どこにも連れていけないのがかわいそうで、そのうちに「この子らが遊べるところを買ったらええやん!」と思うようになり、大型犬が泊まれる民泊をしようと思いました。
同じ種類の犬を飼っている友達はみんな困っているから「やってー」と言われて、最初は自分の犬のためにと思ったけど、民泊してみんなに解放したいなと思うようになりました。
今も週末は連れてきているけど、まだ柵がないから放してあげられないので、早く柵は作らなくてはと思っているところです。

【起業で苦労したことは?】
わからんことばっかりやったから、京丹波町商工会主催の創業セミナーに参加したのはすごく良かった!知り合いもできたし、同じ目標を持った人が15人くらい集まって、いろいろ学べるし、何よりネットワークができたのが良かった。
「移住するんだったら創業セミナー参加した方がいいよ」とみんなに言いたい(笑)。同じような事業をしようと思っているなら、悩むところはみんな一緒やから。みんな同志みたいな感じ。民泊始めた後も、私の所がいっぱいで泊まれなかったら、お客さんを紹介したりできると思うので、本当に協力し合える仲間という感じです。
【民泊開業の申請関係での苦労は?】
民泊の開業許可をとるのに、まずは、消防署と保健所から合格をもらう必要があって、消防署では部屋にスプリンクラーがあるかどうかとか、両方の細かい規定を全部クリアしなければならないんです。
必要な書類が整うと、次に消防署、保健所の方が来られて現地検査があって、例えば、何畳のスペースなら何人が泊まれるからトイレが何個要るとか、手洗い所がどこに配置されているとか、人数によって何台の洗面台が要るとか、細かいルールをちゃんと満たしているかを確認されましたね。
その他、浄化槽は必須だし、バリアフリーの条件もいろいろあって、入口がフラットなっているか、手すりがあるかとか、すべてクリアできるように整えました。
あと、「雨水がどう流れて川に流れるかを図面に矢印でいれてください」というのもありましたね。「そんなんわからんやん・・・(笑)」と思ったけど、保健所の皆さんもとても親切で、本当に丁寧に教えてくれました。大阪に住んでいるからわざわざ来るとなると大変ですが、こちらが提出したものに赤をいれてPDFにしてメールで返信してくれたり。メール対応をしてくださったおかげで時間節約できたので本当に感謝してます。



【民泊開業に向けての今後の予定は?】
まだ商工会のメンバーではないんですけど、商工会の人が京都府の開業補助金を紹介してくださって、申請のサポートもしてくれるということで、今はその準備中です。それが通ってからになりますが、10~12月にプレオープンして知人・友人に泊まってもらって、来年の4月に本格オープンとする予定です。この補助金がでれば、もう少し直していけますしね。
ここでも、商工会とのつながりができたことが、やはり良かったなって思います。

【週末移住の今の暮らしについて】
高速使ったら1時間半で大阪から来られるから、往復の移動もそれほど大変ということもなく、平日は大阪で仕事して、週末に京丹波で農作業することですごく癒されて、リフレッシュできています。
もうすぐ黒豆の植え込みも始まるから、今はそれが楽しみです。周りからは「たいへんちゃう?」と言われるけど、好きなことは苦労じゃないから。土を触って癒されています。何より、作るのが好きやし。何かを作るのが好きな人には田舎は向いていると思う。逆に田舎にいて農作業以外に何をするん?と思う。娯楽もないし(笑)。作った野菜で人が喜んでくれたり、そういうことが好きな人にとっては、すごくいい所だと思う。
栽培して食べきれない野菜は道の駅「さらびき」に卸しています。野菜を卸しているメンバーで慰安旅行があるんやけど、平均年齢80歳くらいでバス2台チャーターして豊岡行ったり、それもすごく楽しい。いろんな生産者の人と交流できて「何を作ってはるんですか」とか話が広がって楽しいんです。
そういう新しい繋がりが楽しいなと思っています。商工会の起業セミナーで知り合った方のご縁で、栗農園で栗の木を栽培する仲間の輪ができたり。移住してから良いことたくさんあったので、あまり苦労したという感じはないかな・・・
【今後の方向性について】
来年、完全移住を目指しているので、まずは民泊用の母屋を完成させて、その後、自分達の住まいにもなる管理棟としての離れを修繕し、整い次第こっちに来られたらいいなと思っています。一気に直すとお金もかかるから、少しずつ順番に直しながら、という感じですね。
民泊では、泊まってくれた方に農業体験も提供できるなと思っています。メインは大型犬と泊まれるペット民泊だけど、農地もあるので、収穫時期には農業体験もできて、それを宿泊された方にBBQで食べてもらうこととかも考えています。
【田舎暮らしとご近所づきあい】
動物が好きやから、こないだも鹿の親子が庭に来ていて、なんか食べ物でも置いといてあげよかと思ってしまう。もちろん、獣害の問題があるから、これは都会の感覚と言われてしまうかもやけど・・・そこは田舎の方との考え方の違いかもしれない。
あと、他の地域の話になるけど、農地の名義変更に水利組合の方全員に印鑑押してもらう必要があって、それに2年かかったと聞いたことがあります。そういう土地柄もあるんやろうけど、私の場合は、所有者さんがもともと地元の方ということもあって、農地を買う際も、水利委員の方々の家を一緒にまわってくれて、手続きがほんとスムーズにできました。
今のお隣さんもいい方で「ブルーベリーあげるからバケツもっておいで」と言われて、収穫も自分でするんやけど、バケツいっぱいのブルーベリーをいただいたりとか。都会でバケツもってブルーベリーもらいに行くってないですよね(笑)。
【古民家購入のアドバイス】
古民家のような家を購入される際には、ある程度金額を出しても修繕が少なくて済む物件買った方がいいような気がする。安く買っても、住むのに必要な修繕するのに物件価格以上の金額がかかったりするから。それなら、少し高くても、購入後の手直しをそれほどかけずに住める方が、結局お得かなと思います。
【京丹波町の好きなところ】
琴滝かな。マイナスイオンがすごい気持ちが良い!苔もあって、緑に囲まれて緑の匂いが最高やから琴滝は大好きです。
あと、京丹波町は、「ここが良い!」というより、町内どこも緑がきれいでいい場所だと思います。この家も周りの緑もきれいやし、川が近いからそのせせらぎがとても気持ちいいの。朝、川の音で目が覚めるとかほんとに気持ちよくて、好きな時間です。